「肝斑」を改善するには
肝斑を改善、治療するには肝斑を知ることからと思いますので、今回も肝斑がどういうシミなのかから始めていこうと思います。これを知っておけば、その他のシミやその他の肌トラブルも改善できるかもしれません。
肝斑を知っておこう!
実は医療という現場でも間違って診断されているケースもあります。肝斑は、教科書では「主に頬部にある左右対称性の色素斑で女性ホルモンが関与する」と定義されています。
主に頬ですが、額、鼻の下、顎にも出現します。鼻の下はヒゲのようにみえるので女性には大問題です。ホルモンが関与するのは、妊娠やピル内服で発症、増加したり、閉経が起こると軽快することから言われています。このような定義では他のシミでも肝斑と診断されてしまうのも仕方ないことかもしれません。
実は原因など詳細がまだよくわかっていないのがこの肝斑です。でも共通して、昔から言われている重要なことは「間違ったケア、治療をすると悪化する」ということです。これがまた肝斑治療を困難にさせている要因でもあります。とにかくやっかいなシミなのです。
肝斑と似ているシミ、間違われるシミ
我々でも肝斑の診断を難しいと感じることがあります。治療を始めてから肝斑と診断するケースもあるぐらいです。
肝斑と似ているシミ、間違われるシミの一つにADM(後天性真皮メラノサイト―シス)があります。これは両頬に灰色~青っぽい色を呈する色素斑です。肝斑と言われて飲み薬を飲むが改善しないということでご来院になるかたに多い印象があります。
ADMは色素のある場所が他のシミに比べ深いところにあります。それは真皮層です。レーザーでもこの位置に届くレーザーでなければ改善は難しいです。
他には老人性色素斑が重なってそう見えたり、そばかすも見方によっては肝斑に見えることがあります。赤みが強いかたでその上にシミがあると肝斑に見えることもあります。
そして何にしても要注意が「炎症後色素沈着」です。これは過度の摩擦やレーザーのやりすぎなど外的刺激などによる炎症が繰り返されるためにおこる色素沈着です。これについては次の項でご説明します。
いずれにしてもシミがどんなシミなのか、また肝斑かどうかを判断するのは専門に任せたほうが無難ということです。
炎症後色素沈着と肝斑
炎症後色素沈着は上記のように特殊な状況ででてくるシミです。そして、肝斑とほとんど区別がつかないシミの一番はこの炎症後色素沈着です。それはなぜかというと、特に女性で多いのが過度の洗顔、ケアによるもので、よく触れる場所が両頬であるからです。
肝斑と同じように間違った治療、ケアをするとどんどん悪くなります。これはおそらくメラニンを産生する細胞であるメラノサイトの変化、その周囲の細胞の変化が炎症後色素沈着と肝斑では同じ状況であると予想されます。
どちらにしても激しい治療は禁忌です。ソフトなケア、治療が望まれます。
一応肝斑はホルモンという要因あっての色素斑であり、炎症後色素沈着はそうでない、しかしホルモンの影響が強ければ炎症後色素沈着にもなりやすいと考えられるからです。
肝斑の治療
今まで「肝斑は触らず」が治療原則でした。通常のシミ取りレーザーは悪化するので禁忌です。肝斑と診断されて飲み薬のビタミンC、トラネキサム酸、ビタミンEを処方されたかたも多いはずです。
あとはハイドロキノンやトレチノイン外用といったところが主な治療です。しかし最近『レーザートーニング』という新しいレーザー照射方法で肝斑が改善する症例が出始め、現在多くの施設で行われています。
これは1064nmという波長で弱くエネルギーを照射し、メラニンだけを排出促進させる方法です。これができるのは『C6メドライト』というレーザー機器のみです。この機器以外で同じような照射をするとよくありません。
もちろん弱く過度の炎症を起こさせないように照射していくので、経過は非常にゆっくりです。通常8~10回以上必要で、1~2週間間隔で行います。徐々に改善していくので途中で不安になるかたもいらっしゃいますが、最終的に効果を実感しています。この方法は炎症後色素沈着にも応用ができるので、上記のように肝斑と同じような治療で同じような経過をたどります。
レーザートーニングは飲み薬併用が原則です。ビタミンC、トラネキサム酸が処方されます。またもっと重要なのがホームケアです。肝斑の悪化因子は紫外線、過度のケア、乾燥です。これらは予防できるものです。レーザートーニングを受けたら治ると思うのはナンセンスです。レーザーを受けつつホームケアも行うことでさらに上のお肌状態に近づけるのです。
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