酵母が作り出す天然の界面活性剤
「酵母」に植物油を加えて発酵させることで、高機能のバイオサーファクタントが作られることをご存知ですか?バイオサーファクタントとは、微生物が生産する「天然脂質」の事。種類は多数あり、幅広い作用を持つ「天然の界面活性剤」です。
界面活性剤って悪いもの?
美肌を考える方には、界面活性剤を避けている方もいるかもしれません。そもそも、界面活性剤とは、「分子の中に水になじみやすい部分(親水基)と油になじみやすい部分(親油基)を持つ物質」の事なんです。
その働きは、「洗浄」「乳化」「浸透」「保湿」などです。私たちの体の中にも、植物中にも存在しています。たとえば、酢と油を混ぜて作るマヨネーズに含まれる卵黄のレシチンや、大豆サポニンも界面活性剤と同じ働きをするんですよ(乳化作用)。
合成界面活性剤の中でも石油系のもの。機能性がとても高いので、幅広く利用されています。スキンケア商品となると、肌に残りやすいために肌トラブルにつながったり、肌のバリア機能を弱めてしまうのではないかとも言われています。
そこで、注目されるのが「天然の界面活性剤」。天然のものは、安全性が高く、使用後も微生物が分解してくれるので環境に優しいことが特徴です。
酵母がつくる天然界面活性剤と肌のセラミドは似たもの同士?
バイオサーファクタントは、水分を含んだみずみずしい肌になるには欠かせない「セラミド」と構造がとても似ているために、角質層に取り込まれやすいんですって。
セラミドは、肌の中に入り込み足りない水分や油分を「補充」してくれるもの、似たような成分ですが、ヒアルロン酸は水分が蒸発するのを「抑制」するものです。歳を重ねるごとに減ってしまうセラミドと似た構造なんて、化粧品に利用しない手はないですね。
化粧品に貢献 ~強い乳化作用と使用量の減少~
水に溶けにくい成分には、多量の界面活性剤が必要なので、安全性の高い天然の界面活性剤の使用が望まれましたが、以前は天然の界面活性剤の乳化作用が弱く、しかし、バイオサーファクタントの乳化作用は他の天然界面活性剤に比べて高く、様々な成分が化粧品に利用できるようになりました。
バイオサーファクタントのチカラで化粧品に配合できるようになったもの
・セラミド
油や水に溶けにくく、保存するときに結晶を作ってしまって化粧品には使用するのが難しかった。
油や水に溶けにくく、保存するときに結晶を作ってしまって化粧品には使用するのが難しかった。
・カルテノイド類やコエンザイムQ10
皮膚の老化や角質化、しわの発生を防ぐと言われる「カロテノイド類」(ルテイン、アスタキサンチン、リコペン等)や「コエンザイムQ10」は水に溶けないので、化粧水のような水の成分には配合できなかった。
皮膚の老化や角質化、しわの発生を防ぐと言われる「カロテノイド類」(ルテイン、アスタキサンチン、リコペン等)や「コエンザイムQ10」は水に溶けないので、化粧水のような水の成分には配合できなかった。
更に、バイオサーファクタントは、合成界面活性剤に比べて極めて少量でも効果が発揮できるため、界面活性剤の使用量が少なくて済むようになりました。
納豆菌のチカラ
納豆菌から作られる物質が、合成界面活性剤の使用量を劇的に減らす技術が発表されました。合成界面活性剤に微量加えただけで、界面活性剤の量を100分の1に減らしても同じ効果が得られたという事です。バイオサーファクタントと同様に、微生物によって分解される性質を持ち、肌にも環境にも優しい事に加え、血栓を溶かす作用や、抗菌性などの機能を持つそうですよ。
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