2015年9月10日 星期四

欧米ではすっかりおなじみのアンチエイジング法「HRT」とは?

欧米ではすっかりおなじみのアンチエイジング法「HRT」とは?
女性の美と健康を守ってくれる、女性ホルモン。心強いお守りのような存在の女性ホルモンに、できることなら一生守られたいですよね。しかし、一生涯で分泌される女性ホルモンの量は、たったのティースプーン一杯程度。さらに、50歳前後の更年期になると、卵巣機能が低下して分泌されにくくなってしまいます。
更年期症状はいくつか治療法がありますが、今回は日本ではあまりなじみがないホルモン補充療法「ホルモン・リプレイスメント・セラピー(HRT)」をご紹介します。欧米ではスタンダードになりつつあるホルモン補充療法です。

ホルモン・リプレイスメント・セラピー(HRT)とは

ホルモン補充療法「ホルモン・リプレイスメント・セラピー(hormone replacement therapy)」は、略してHRTと呼ばれています。海外では、オーストラリアで約56%、欧米で約30〜40%という普及率ですが、日本の普及率はわずか1.7%で、あまり認知・理解されていないのが現状です。
HRTは、卵巣で分泌されなくなったエストロゲンを補うことで、更年期のさまざまな症状を改善する治療法です。状況に応じて投与する製剤と使用方法が異なりますが、投与法は主に以下の3種類があります。
1)周期的療法
エストロゲンを毎日服用し、さらに1カ月のうち10~12日間連続でプロゲステロンを併用する方法です。厚くなった子宮内膜が剥がれるため、生理のような出血が起こります。子宮がある人の、一般的な投与法です。
2)持続的併用療法
エストロゲンとプロゲステロンを毎日服用する方法です。最初は不正出血が起こることがありますが、薬の投与量を変えることで改善できます。
3)単独投与法
エストロゲンだけを毎日服用する方法です。子宮を摘出した人には、この投与法を行います。

ホルモン・リプレイスメント・セラピーで期待できるアンチエイジング効果って?

女性ホルモンが不足することにより、骨粗しょう症、高脂血症、認知症などの病気につながってしまう可能性があります。HRTは、更年期症状の改善はもちろん、女性ホルモンを補充することにより、次のような効果も期待できます。
HRTに期待される効果
・ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、多汗)、睡眠障害を改善する。
・皮膚のコラーゲンやエラスチンを増やし、肌の張りやうるおい、柔軟性を保つ。
・抗酸化作用が期待できる。
・抑うつ気分やうつ症状を改善へ導く。
・骨粗しょう症や骨折を予防する。
・膣粘膜の乾燥を防ぎ、性交痛を改善へ導く。
・心臓血管系疾患、大腸がん、認知症のリスクを抑える。
・糖・脂質代謝によい影響を与える。

気になる副作用は?

1)薬剤による違い
使用する薬剤によって、副作用のリスクは違ってきます。エストロゲンの内服薬は、肝臓に作用して中性脂肪を上昇させたり、動脈硬化に関係する物質を増加させたりします。しかし、貼り薬や塗り薬など、皮膚からエストロゲンを補充する方法は肝臓を通らないため、安全性は高く。ただ、貼り薬はまれに皮膚が赤くなったり、かぶれたりすることがあります。
2)もっとも多い不正出血
もっとも多い副作用としては、生理のような出血が見られることがあります。持続的併用療法で、2日に1度の服用を3日に1度にしてみたり、1回1錠のところを半錠にしてみたりと、薬の量や回数を調節することで、このような症状を緩和することが期待できます。その他には、乳房の張り・痛み、偏頭痛などが考えられます。
3)乳がんリスク
米国の臨床試験結果(平成14年/Women’s Health Initiative)で、「5年以上の長期にわたってHRTを行った場合、乳がんになる確率がわずかに増える」ということがメディアで取り上げられ、行き過ぎた解釈がされてしまいました。しかし、国際閉経学会など国際的な専門機関が再解析したところ、HRTにおけるリスクは見直され、現在は更年期の女性にとって、よりメリットの多い治療という見解がされています。
副作用を含めてHRTを理解し、HRTを行うのか、どんな方法を選ぶのか、まず自分の体の状態を知った上で、医師に相談しながら考えてみてください。

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